ピストではスレッドタイプがまだ健在
今やスポーツ自転車の大半はアヘッドステムを採用しています。
アヘッドステムは、ヘッドチューブから飛び出したフロントフォークのコラムにはめて上部のネジでハンドリングの硬さ調整、横のネジで固定します。
しかし、ピストの世界ではまだまだスレッドステムが多く使われています。
スレッドステムは、アヘッドと違いフロントフォークのコラムが飛び出していません。逆に穴が開いています。ここにスレッドステムを差し込みます。上部のネジで締め上げて固定します。
スレッドとアヘッド
スレッドステムの使用率
競輪のプロの世界では、スレッドステムが使用されています。NJS認定のためです。
競輪向けのNJSステムの例:NITTO(日東) NJ-PRO AA軽合ステム
アマチュアや世界選手権などの国際レースでは、アヘッドが多く使われています。ただ、LOOKのモノコックフレームだとエルゴステムが固定されています。アヘッドともスレッドとも言いいがたいところです。
最近人気の街乗りでは、買ったフレームしだいもあるようです。鉄製の中古フレームならスレッドが多く、最近販売されているものならアヘッドが多いようです。スレッドタイプにアダプターをかませてアヘッド化している人もいます。
どちらを使うべきか?
基本的にどちらを使おうが何の問題もありません。もう好みの問題でしょう。
ただ、一つのフレームでは基本的に両者のステムタイプを使い分けることはできないのでご注意を。フレームやヘッドパーツによってどちらか決まっています。スレッドタイプのフレームに、アヘッドステムが装着できるアダプターパーツもあります。
アンカーのカーボンピストなら購入時にアヘッドかスレッドかが選択できるようになっていますが、他のフレームでは普通選択できません。
↑以前の話です。初代のカーボンフレームのとき
長所・短所は?
アヘッドは計量に仕上げることも可能ですが、ピストの世界ではそこまでこだわることもないでしょう。むしろ剛性とのバランスが重視されます。
またアヘッドステムは非常に選択肢が多いのが特徴です。スレッドはNJSタイプばかりで、シルバー1色といったところですが、アヘッドは色も形も角度も素材もいろいろあります。
ではスレッドステムに長所はないのか?というとそうでもありません。
スレッドステムはコラム部分とステム部分が一体構造のため、アヘッドのようにつなぎ目が発生しません。頑丈で信頼感があります。
また高さ調整の微調整が効きます。アヘッドはスペーサーの厚さしだいで高さが決まるので、好みの高さを探すのにたくさんのスペーサーを用意しないといけません。それに対してスレッドは、パーツなしで1mm単位でも自由です。
スレッドは固定の方法も楽です。ただネジを一本締め上げるだけです。ハンドルの硬さ調整はヘッドパーツの調整がしっかりとされている限り、ステム側で何かする必要はありません。
セッティングに敏感な人はスレッドステムでないとやりづらいかもしれません。何かとシビアな競輪選手にはこちらが向いているのでしょう。
ただスレッドステムは、一度固定して長期間メンテナンスしないでいると、油切れでフレームと固着することがよくあるのでご注意を。ステム周辺は特に雨や汗などで油切れを起こしやすい場所にあります。
中古フレームを買った場合に、ステムが外れない!ということもあるので、あまりに古そうなものなら事前に確認をしておいたほうがいいと思われます。
また、NLSのスレッドタイプは、ハンドルバーのクランプ固定部分がクローズド、つまり1本ネジとなっています。最近のアヘッドはほぼオープン、つまり上下2本や4本ネジです。ハンドル交換時にはやや面倒です。
そしてクランプ部分の直径。NJSステムは25.4mmとなっています。ロードハンドルは25.8からオーバーサイズが主流なので、使いたいハンドルとの兼ね合いも考える必要があるでしょう。