法律上は違反なのですが……
最近のピストブームで、ブレーキの付いていないピストの是非が一部で問題となっているようです。そのまま公道を走ることで、危ないんじゃないか?法律違反ではないか?と声が上がっています。
もちろん、自転車にはブレーキがないと法律違反です。ただ、普通にイメージするリムを挟むブレーキだとは書いてありません。ブレーキレバーを握ってブレーキがかかるようにともなっていません。
そこでノーブレーキ派は法律の文言のとらえ方で合法という見解を引き出しているようですが、日本ではこれが問題ないと理解されるかは難しい雰囲気ではないでしょうか。こういった難しい話はよく分かりませんがね。
※更新。後述しますが、今では明確にノーブレーキは違反。前後片方でもアウトです。
バックを踏む=ブレーキになるか?
バックを踏むことでブレーキ機能であると考えるようですが、ピストの特徴からするとちょっと厳しいです。実際には事故なく走る慣れた人が多いようですが、ブームになっている今はまともな知識なく乗り始める人も出てくる可能性があります。
仮にバックを踏むことをブレーキとして認知したとしても、乗る人の技術や出ている速度により制動距離が大幅に変わります。また、通常のブレーキ付き自転車に比べてブレーキ性能が大幅に劣るため、どちらにしても比べてしまうとどうしても危険な自転車となってしまいます。
バックを踏んで止まるのも速度により一応可能ではありますが、通常の自転車のブレーキと比較されると使い物にならないと言われても仕方がないでしょう。実際はゆっくり走る人がほとんどですが、スピードを出した状態での急ブレーキはまず不可能です。滑っていくので。
かなり遅い速度でも、ブレーキのある普通の自転車のようには止まれません。キュッ!!と止まれないんですね。結構その差で事故にならなかったりするので、この僅かな差でもかなり安全度は違ってきます。
自動車でも制動距離をいかに短くできるか?が重要です。高級スポーツカーほど制動距離が短くてそれが評価されます。ノーブレーキピストは安全性において真逆の選択肢を取っていることになり、自らリスクを高めることになっています。
そもそもブレーキのない自転車は売っていない
そもそも自転車(完成車のこと)はブレーキ無しで売られていません。この時点で、自転車にはブレーキが必須という認識は常識のはずです。常識というより、それを必須と考える必要性もありませんでしたね。とりあえずブレーキは付いているという感じです。
しかし、ピストがブレーキ無しで売られています。ただこれはもともと競輪場(バンク)での専用車だからです。ですからフレームにブレーキ取り付け穴が最初からないのが多くなっています。
つまり、ピストがブレーキ無しで売られているのは、何もブレーキ無しでいいよ、ということではなく、ピストとして通常のあり方で売られているだけということです。公道O.K.だよと言っているわけではありません。これを勘違いしている人もいるようですが…
ノーブレーキピストの現状
ピストということなので、通常はブレーキがない状態で売っていてもおかしくはありません。そこで街乗りに使う目的の人には、自転車ショップ側がブレーキ付きを薦めるようです。ただいらないという人もいるようで認識は人によりまちまちです。
メッセンジャーさんについては以前記述していた部分がおかしかったので訂正します。ノーブレーキと書いていましたが、前か後ろかの片ブレーキということですね。このパターンが多かったです。
製動力から言ってつけるなら前でしょうが、フロントフォークに穴がないことが多いので後ろブレーキの人も結構います。
これは後輪側だとブレーキの後付けがしやすく、前輪側だと難しいからです。後輪はバックステーのパイプ2本を板で挟みやすく、そこに穴を開けてブレーキをネジ止めできるんですが、前輪は通常ブレーキを取り付ける位置に板を挟むのが難しい形状をしています。そのため後輪だけブレーキが多くなっています。
ただフロントフォークにクランプする器具がついた前ブレーキもあります。でも競輪選手は後ろブレーキだけという人もいました。
後ろブレーキはあまり効かない
ちなみに後ろブレーキは前ブレーキに比べて制動力がかなり落ちます。ロードレーサーだと人によっては前ブレーキしか使わない人もいるくらいなので、後ろブレーキだけというのはもうほんとお守り程度なんです。
片ブレーキもO.Kなのかどうかよく分かりません。ノーブレーキより遥かに安全なのは当然なのですが、前後ないとダメという意見とぶつかります。確かに前後あれば言うことありません。本来はやはり前後あるべきなのでしょう。よく分からないところです。
※その後、片ブレーキは道交法違反で摘発されるようになりました。競輪選手が後ろブレーキだけで街道練習していて警察に赤キップ切られることが2010年頃に発生しています。
後付けブレーキは効きが悪い
仮に前後にブレーキを付けたとしても、このブレーキの性能が今のロードブレーキよりかなり制動力が落ちます。
アームが昔ながらの構造でたわみやすく、かつ装着されているブレーキゴムも良いものじゃありません。もちろんブレーキなのでちゃんと効きますが、普段ロードレーサーに乗っている人は効き始めが遅くて止まらないと恐怖を感じるかも。
警察はどうしている?
警察官の前をノーブレーキのピストが通過すると……(当時の話です)
私が見たことある数少ない場面の限りでは、何も言われていません。これを書いたとき以前の数回の話のなので、時間の経過と共に結果は変わっていくでしょう。そもそもその警察官がノーブレーキピストの存在を知っていたのかどうかも分かりません。てっきり注意されると思って見ていたんですけどね。
むしろボロイ自転車に乗っているときのほうが見られているようで、すぐに盗難の疑いがかけられます…
というわけで、現状でははっきりと取り締まられないみたいな扱いになっていますが、やはり他人の迷惑と安全を考えると、これからしっかりとした規制がかかってもおかしくないでしょうね。実際に警察の目は厳しくなってきているようです。ただ単に知らなかっただけかもしれませんね。
※やはりしばらくしてワイドショーにも取り上げられ、ノーブレーキピストの危険性が認知されるようになり警察に止められるようになりました。
片ブレーキ競輪選手の街道練習がアウトに
競輪選手は以前から後ろブレーキだけつけてピストで外を走っていました。これは長年のことです。つまりそのときは警察から摘発とかはなかったってことですね。細かい注意とかあったのかどうか知りませんが。
競輪選手は昔ながらのピストに簡易ブレーキスタイルが有名でしたが、最近はロードバイクで街道練習する選手が一層増えている印象。You Tubeで街道練習風景を見てみても、ピストでも前後ブレーキを装着しているスタイルが主流のように見えます。
これは以前からでしたが、街道練習用にブレーキ穴が開けられたピストロードバイクに乗って練習する選手も。
アテネオリンピック・チームスプリント銀メダルの伏見俊昭選手なんかそうでした。レース用と全く同じ構成にして、ブレーキはしっかり取り付けられるものを別オーダーしています。以下は結構前の動画です。
以下動画はどれも2011年公開なので、おそらく2010から2011くらいの時期。この時期は今よりロード派が少なかったのかも。
動画後半では、一緒に走っている人が後ろ片方ブレーキなので個人によって違いがいろいろあった時期と言えるのかも。
同じく競輪界の超有名人である小嶋敬二選手は、同時期でもロードで街道練習している動画あります。
これまた有名な渡邉晴智選手の場合は、この時期は後ろブレーキのみ。ただ、かなり広くて見渡しがいい人通りがない道で往復するのが練習スタイルのようで、いわゆる街道ではないのがポイントですね。
とまあ、当時は選手によって(走る場所や交通状況も?)、ピストかロードか?はたまたブレーキは片方かとかがマチマチだったようです。
【更新】今のノーブレーキピストは?
もうノーブレーキピストは見ないのではないでしょうか?
シングルギアの自転車は見ますがブレーキがないのは見たことがありません。地域とかではどうか分かりませんが。
つまり、ブレーキがないのは当然アウトだし、前後ブレーキがないとダメ。ピストのバックを踏むという行為がブレーキとして認められることはないということです。
まあ当たり前なんですが、突然ピストブームが来たので警察も認知が追いつかなかっただけといったところでしょう。